生前と死後のあいだで/小林レント讃3/渡邉建志
んぐん上昇していくエレベータの中でパニックに陥った老人が、今すぐ地上へ戻せといって操作するMr Wonkaの邪魔をして、余計にエレベータは制御不能の状態に陥ってしまった、というのと同じだ。身を任せていれば、他人が何とかしてくれる、という悟りに至るのは非常に難しい。練炭自殺の場合であれば、もう自殺することに決めたのだから、ばたばたしなければ楽に死ねるのに、最後になって、自分が自分を制御できない状態を味わうと、かなりの人がパニックになるのではないだろうか、と想像する。もし、生から死へとデジタルに移行できるのならば怖くないのだけれど、たぶん、その間の、「もう生へは戻れない、だけど意識はある」という恐ろし
[次のページ]
[グループ]
戻る 編 削 Point(3)