因数分解中毒者のために/小林レント讃2/渡邉建志
 
、これは「書き得る詩」だろうか?むしろ、詩を書いているというより、アルコールを爪から吐き出しながら心が叫んでいる、というように思える。「アルコールが/滲み出てる/舐めてよ」のリフレインを見ていると、これはもう技巧論で語りうる範疇を超えている。模倣ができる世界ではないと思われる。読んでいて、ここに書かれた少年はほんとうにこの通り感じたのだということを強く感じさせられる。文体という服を着ていないで、素っ裸なのだ。不思議な詩。「セルシン」という一言だけで、なにか恐ろしい力を感じるのだから。もうこれは理性の世界じゃないよ。叫びの世界だよ。だから、好きにはなれないけれど、これはとても強い詩だと思う。


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