因数分解中毒者のために/小林レント讃2/渡邉建志
 
落ちた瞬間 消える}
3行目の「消える」のまえのスペース。そこでの一瞬の読者への息の取らせ方。朗読者とすれば、いかにこの瞬間に雨粒を消えさせるか、というのが勝負だとおもう。ここの消える、は、ほんとうに美しい3文字だとおもう。もうひとつタイミングの取り方が難し(くも美し)いスペースがあって、

僕の頭髪に降っているのは
遠くから降ってくるのは
これは 秋の雨

この、確認するように「は」を重ねる手法がとても生きていて、とくにさいごの短い「これは」という、さいごの気づくような言葉の温かさや淋しさといったらない。とても好きだ。



■名前のない風景 http://www.r
[次のページ]
[グループ]
戻る   Point(4)