因数分解中毒者のために/小林レント讃2/渡邉建志
 
本足が平凡なわけがない。矛盾である。これはたぶん一本足にも関わらずあまりにも平凡なので一本足でも平凡な犬なのだろう。ここで重要なのは、「一本足で歩く/平凡な一匹の犬」と書かれただけで、僕らはいろんなイメージを勝手に抱き始めると言うことだ。そして重要なのは、犬の声や話す顔をやっぱり次の聯で考えざるを得ないところだ。自分で助産してしまった犬だから、読者としてもこの犬がかわいくてたまらないんじゃなかろうか。「平凡な犬が好きな僕は」、という、ここでもわざわざ「平凡な犬」といっているのもたまらないし、その「好き」な気持ちも共感せざるを得なくなってくる。それから「僕」は「できるだけよいこたえを探」す。好きな平
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