改札で詩友達と別れた後に/服部 剛
の道を歩まねば
ならぬ時が来る。」ということの予兆として、若き日の記憶が胸の
奥から蘇って来るのである。
僕等は共に夢を追い、詩の活動をして来たが、やがて互いを理解
することを忘れていった。その詩友達と会う最後の日、僕は海が見
える、江ノ電・鎌倉高校前駅の公衆電話から「もう一人の詩友」に
電話をかけた。その詩友とは、20歳年上の詩人・難波保明氏であ
り、難波氏とは僕等がやっていた詩の番組に出演していただいた時
以来、時折飲みに行っては語らうようになっていた。受話器越しの
難波氏が「人生は時に、別れがあるものだから。」と言ってくれた
暖かい声が、今も僕の耳に残っている。ゆっ
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