草叢から仰いだ空/服部 剛
振り返れば
手の届きそうで届かない
「昨日」
に責任の全てを背負うかのように立っていた両足を崩して
独り誰からもかばわれることなく
地に身を伏せている私がいた
幻想の友情に終止符が打たれたあの日から
只(ただ)日々の風は無感情に壁に掛けられたカレンダーをめくり続けた
「今日」
私は全ての心の重荷を道に降ろして
道を外れた草叢(くさむら)に埋もれた場所に身を隠し
あぐらをかいてぽかんと口をあけながら
頭上遥かに仰(あお)げば吸い込まれそうな
秋空の青
に恍惚(こうこつ)としている
( 私はもう 細い両足いっぱいに力を込めて
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