草叢から仰いだ空/服部 剛
て 立つ
という姿勢をすることは ないだろう )
( 私はもう かけがえのない友に
無闇に 顔を近づけたりは しないだろう )
( あの日のように
友を棄(す)ててしまうことのないように・・・ )
( あの日のように
「明日」へと続く道の目の前を塞(ふさ)ぐ岩という幻に
歩み続ける光に満ちた両足が
怖れに震えて立ち止まることが無いように・・・ )
たとえば
どしゃ降りに濡れる日にも
私の胸の内には
あの草叢に深く埋もれた場所から吸い込まれそうに仰いだ
秋空の青
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