眠ってしまえばいい/たりぽん(大理 奔)
湿気ばかり多くて
気温が上がらない夜は虫なんかの
季節を送る歌など気にせずに
眠ってしまえばいい
閉じた瞼の裏が
奇妙な色に透けるのは
まだ生きている証だと思えるのなら
眠ってしまえばいい
肌の触れあう弾力や
握った手の汗ばむ不快さを
何かとつながっている手応えだと思えるなら
眠ってしまえばいい
救えなかった言葉や
逆撫でるようにギターでがなる声が
不意に胸に迫ったなら
眠ってしまえばいい
性交とか愛撫する行為が
神聖なるラヴとかお笑いだ
それが愛する意志と同じだとつぶやくなら
眠ってしまえばいい
生きるということがどこかで
必ず死、何
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