旅先の川沿いを千鳥足で歩いた夜 〜博多にて〜/服部 剛
の酔いどれ人(びと)に
降りそそぎ始めた霧雨は
酔って熱っぽいこの首の後ろを心地よく冷やし
博多人形の銅像の「三人姉妹」は
仲睦(むつ)まじく目線を合わせて肩を組む
日常の重荷を
遠く離れた鎌倉の空の下に置いて来た博多の夜
酔いどれた旅人となり霧雨の降る夜空を仰いで
「お〜〜〜いっ、月いぃ〜・・・!」
と呟けば
雲間から
おぼろに白く光るまあるい月が顔を覗(のぞ)かせた
時間と空間の歪んだ道の
揺れる地面を千鳥足で歩き続けると
いつの間に
真夜中の博多駅のほどちかく
「酒は飲め飲め黒田節(武士)〜♪
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