旅先の川沿いを千鳥足で歩いた夜 〜博多にて〜/服部 剛
=のれん}をくぐり
ぼやけたコップに入ったぬるい酒を
くいっ と飲み込んでは独り顔を赤らめる
柱に取り付けられてゆっくり首を振る扇風機(せんぷうき)も
風に揺れる大きい赤提灯(ちょうちん)も酔っ払う
夏の夜(よ)の歪んだ空気の中で
隣の男達は笑いながら互いの頭を引っぱたき合い
隣の屋台では
恋人同士じゃなさそうな若い男と女が
いちゃついている
歯のすき間に最後の一口のいわし明太をかみしめて
「ごちそうさん」
と屋台の外に出れば
ネクタイのゆるんだ中年の男が酒瓶片手に全身震わせ
川に向かって愛する女の名を叫ぶ
そんな全ての酔
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