旅先の川沿いを千鳥足で歩いた夜 〜博多にて〜/服部 剛
天神で評判のラーメン屋でとんこつラーメンを2杯食い
満たされた腹をふくらませて夜の那珂川(なかがわ)沿いを歩いていたら
遠くに並ぶ屋台のぼんやりとした明かりが見えてきた
橋の傍らにひっそりと立つ石碑には
「 ひとのにくたいの一部には
どうしても消えぬ 臭いところがある
ゆるしてやれ いたわってやれ 」*
という言葉が刻まれていた
夜の川の水面(みなも)には
「やまやの明太子」
のネオンの赤い文字が崩れて揺れていた
汚れたテントの並ぶ屋台の中で
今夜も人々は賑(にぎ)わい
揺らめく{ルビ暖簾=の
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