再会の日 〜’05 9月4日 上野水上音楽堂にて〜/服部 剛
イベントは終わり
立ち上がった僕は伸びをしてからふと横を向くと
通路から見覚えのある顔がぼくを見ながら歩いてきた
4年前にすがって愛を求めたぶざまなぼくを
全て水に流すかのような優しさを瞳に浮かべて
他の友達といたきみとかたことの言葉を交わし
遠ざかってゆく懐かしい背中が
会場の出口で振り向いた
複雑な想いを浮かべて離れた 瞳(め)と瞳(め)が 合った
( 4年前楽屋でスタッフの名札をきみに手渡された時
互いの指先からひいた白い糸が
ふたたびぼくの人差し指から
きみのほうへたゆたいはじめた )
懐かしいきみの背中が
上野水上音
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