再会の日 〜’05 9月4日 上野水上音楽堂にて〜/服部 剛
蓮の葉群の向こうに
赤茶けた明かりに照らされた
神社の塔をじっとみつめていた
水上音楽堂から
「 詩人(うたびと)よ全ての寂しさを越えてさすらう旅人であれ 」
老いた男が詠むしわがれ声が響いて
夜の帳の下りてゆく
不忍池の葉群の上に人知れず滲(し)みていった
客席に戻り
寂しさに負けまいと
木の長いすの上に膝を抱えるぼくを見た
妊娠中のM子ちゃんがおおきいおなかで歩いてきては
ぼくの頭をなでていった
ステージでしんみりとギターを弾き語る男の上に
吊り下げられた大きいキャンパスの空白の中に描かれた
青い鳥が羽ばたいていた
やがてイベ
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