私のダブルスタンダード/佐々宝砂
 
つーなんでしょうが、ここでさらにまにあっくな話を持ち出すところが私のオタクたる所以で。

私は昔から神戸という街が好きだ。西洋と東洋の文化がごちゃまぜになって、いろんな異質なものがなにげなく隣り合っている街が好きだ。横浜にもそういう匂いがあって、あの街も嫌いではないのだが、横浜はちょっとアメリカの匂いがきつい。私は神戸のほうが好きだ。神戸の神戸らしさを代表する作家は稲垣足穂だろうか。タルホの世界では、異質なものが異質なままに隣り合い、響きあい、人間ならざるもの、たとえば土星が酒場でくだを巻いたりする。

ああした世界をマンガに継承したと私が考えているのが、星野架名という神戸出身のマンガ家で
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