ボールパークに夢を 〜海を渡った侍 松井秀喜に捧ぐ〜/服部 剛
破らんばかりの
夢のアーチを架けていた男も
何故か最近ニューヨークの乾いた青空に白球は舞い上がらず
丸太の腕で風音たてて振り切るバットからは
しけた打球が土に転がり
敵のグローブに吸い込まれる日々が続いた
〜
僕と同い年の松井秀喜が
夢を求めて海を渡る決意をした2002年・11月
僕は誰に出す宛てもなく綴(つづ)り続けた詩の束(たば)を
リュックサックに詰め込んで
ジャイアンツでの最後のユニホーム姿の松井秀喜が
日米野球に出場している東京ドームの白い屋根を遠くに眺めながら
夢を追う自分を約束の舞台へと導く小さい光の出口を探して
猫背のまま歩き続けてい
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