縁取られる光、闇に消えていく思い出/チャオ
壁で想像する人に出会う機会がない。それで、人生が幕を閉じても、決して不十分な人生なんかじゃない。太陽の熱を感じるときがあれば、曇り空のはっきりしない空気を吸い込まなければいけないときもある。それでも、ここは絶壁でも、海原でも、草原でもない。そこに住んでいる人がいて、それを羨んでいたとしても、同じことだ。コンクリートで囲まれた、お金という価値を欲しがる人だっている。だから、忘れてきた思い出をしっかりと覚えておくべきだ。すでに忘れてはしまったとしても。
太陽が沈んでいく。思い出は忘れられていく。今日がいくつも消えていく。言葉として残された感情が、出来事が、つながりを見出していく。明日へ、世界へ、
[次のページ]
戻る 編 削 Point(3)