縁取られる光、闇に消えていく思い出/チャオ
 
つかの単語を駆使して過ごすだろう。忘れられ思い出は、まだ日の目を見ない。

草原とか、海原とか、絶壁とか。そんな幻想的な世界はどこで生まれたのか。電車に揺られながら人ごみの景色を眺めている。
もしも世界がすべて海原だったら、海底で生活したりするのだろう。そこは未知の世界ではなく、幻想的なものではなく、日常の生活の、ありふれた世界になるのだ。
電車はいつものどうり。変わり続ける世界に対応して、変わらない日常を運ぶ。目の前に素敵な女性が乗っていても、有名人が乗っていても、世界は止まらない。つまり、電車も止まらない。思い出から削除されていく人々の顔がそこにある。人々の匂いがそこにある。
絶壁で
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