とある深い夜に/秋葉竹
 


ぽとぽとと
涙を流した心が
すっかり萎んでしまって
歩くこともできなくなった夜に

わたしはひとり
その心を眺めながら
哀しげだね
って
口にしてみるだけだ

暮らしの中での不自由は
ずいぶんむかしからの習い性かな

かつてヒーローを希んだことがないことが
微々たるわたしの誇りかな
埃みたいなもんだけど
ヒーローに成りたいと
夢みたことはあったかな

泣濡れるか弱いひとのそばに立ち
すこしだけでも涙を拭ってあげられる
そんな
やさしくあたたかいだけで
あまり力にならない
そんなヒーローに
ほら
すこしだけでも
現実ってものを知ってから
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