ことば使い師のうた/秋葉竹
さみしさだけが
声をはなって
胸のおくで
こっそりと泣くから
メロディーがながれる
街角のちいさなベンチで
道ゆくひとたちをみている
やさしさを空っぽにされた
いっぴきの小鬼を
彼女はみつけることが
できたのかもしれない
ひとは
傷ついたぶんだけ
やさしくなれるから
夢みることば使い師は
嬉しそうな声で
《ありがとう》
って
その小鬼に
こころのなかで
声をかけたんだ
彼女はまえを向いて
美しい小鬼の瞳を
じっとみる
無限の光降り落ちて
ふときづくと
《とき》が止まり
彼女と小鬼だけが
止まった《とき》のなかで
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