咲子?/たま
た。
「あたし、隅田川を見たいの……」
待ち合わせた五反田の駅で咲子はそういった。わたしは新宿に出て、映画に誘うつもりでいたけれど、それはどうでもいいことで、咲子の希望があるならそれがいいとおもった。
「隅田川?……といっても、ひろいよ。どのあたりがいいの?」
「ん、海のちかくがいい……」
「海の見えるとこ?」
「ううん、見えなくてもいい……」
海が見えなくても、海の近くだとわかる場所ということだろうか。
「あ、それでね。あたし、東京のバスに乗りたいの」
「バス?……あ、バスに乗って隅田川ってこと?」
「ん、そう……」
ますますわからなくなった。まるで半分しかない地図を
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