咲子?/たま
 
これもまたよくあることで、その場合はクライアントに連絡をとって、一色刷りであることを再確認しなければいけなかった。
「ありがとう……」
 丁寧にお礼をいう。
「あ、いえそんな……」
 咲子はちょっとはにかんで会釈した。
 肩まで伸びた黒い髪を襟元で束ねて、うずら型のちいさな顔がますますちいさく見える咲子は、会社の地味な制服を着用しても高卒の新人に見えた。咲子は八月生まれだったから、もうすぐ二十二だったのにとてもそんなふうには見えなかった。


 咲子(六)


 咲子と初めてデートしたのは、六月に入ってすぐの日曜日だった。誘ったのはわたしだった。咲子は意外と軽くOKを出した。
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