咲子?/たま
 
だろ? 音読みしかないってこと」
「ん、そっか、それならわかるけど……でも、訓読みもなかったら詩は書けないわよ。あたし日本人だから……」
「ま、そうだよね……うん、むずかしいなあ」
「ね、むずかしいでしょう? 漢和辞典があったってさ、詩は書けないってことよ……」
 たしかにそうだった。
 漢和辞典をひらく以前に咲子には詩を書くいのちが宿っていたということだろう。そうなると、そのいのちを盗むことはできないというか、まったく次元のちがう話しになってしまう。このわたしが詩を学びたいと願ってみても、詩を書くいのちを持たなかったら学ぶことさえできないということになる。
 けれど、詩は学ぶものでは
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