ショウヘイ/後期
 
は元の生活に戻る。
だらしなく座り、無意味な動きをし、どうでもいいことを考える。その瞬間を、今村は逃さない。そこにだけ、人間がそのままの形で現れるからである。

「いいね、人間がちゃんと、だらしなくて」
今村は、誰にともなくそう言った。褒めているのでも、評価しているのでもない。
生活が、ちゃんと生活のままであることを、確認しているだけである。私はそれを見ていて、少し居心地が悪くなった。この撮影には、逃げ場がない。生活を美しくもしないし、悲劇にも仕立てない。ただ、だらしなさをだらしないまま、時間の中に置いておく。
カメラは回り続ける。生活も続く。どちらが主で、どちらが従か、わからなくなる
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