奔別/伊藤透雪
 
ポプラの葉を吹いて高音を出したりする。
川に笹舟を流したり、空家の物置を秘密基地にして、川べりで拾った
笛になる石や、砂場で遊ぶプリンのカップを置いておく。
学校で作った花瓶に、フランス菊を飾ったりも。赤土の道が熱い。
家に帰っても誰もいない日、妹の手を引いて一山越えた道を歩き
伯母の家に向かったら、夕方迎えに来た父に怒られた。
トラックの荷台には大きな西瓜が三玉、金印だ。
友達から買ったのだと父は言う。とても甘い、三笠特産の西瓜だ。

山から風がよく吹く頃、川からトンボが飛び始める。
赤トンボ、姫トンボ、車トンボ、空がトンボでいっぱいだ。
畑に立っている竿の先から先へ、羽根
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