奔別/伊藤透雪
 
羽根を広げて留まっている。
電線にも、電柱の先にも。
目をくるくる回しながら足で洗っているのもいる。

秋の始まり、草むらのキリギリスが喧しく鳴き始める。
まだ残暑が照らす昼間。
涼しくなり始めると、一家揃ってシメジをたくさん採る。
夕方からはコオロギが鳴く。
十五夜には、壇にススキと月見団子が乗せられる。
霜がおりたら、山葡萄を採ってくる。栗拾いも楽しい。

雪虫が飛び、初雪が降って冬がやってくる。
薪ストーブに火が入る。薪運びは私の仕事だ。
時計型薪ストーブと、ペチカに焚べられる薪の火が温かい。
乗せてあるやかんから蒸気が上り、頬も赤くなる。
手をかざすと熱いくら
[次のページ]
戻る   Point(3)