咲子?/たま
 
「うん、リクオさんとあたしのお弁当……」
「え、ぼくのも?」
「そうよ、愛妻弁当……ね、うれしくない?」
「……うん、いいね、それ」
 たしかにそれはうれしいにちがいないけれど、その愛妻弁当を会社の食堂で食べるとなると、かなり勇気がいるとおもった。それにまだ結婚したわけではなかったから、わたしとしてはもう少し先の話しでもよかったのだ。
「それでね、炊事道具はあたしのお給料で買うから、リクオさんは食料品と、ここの家賃払ってね。そしたらさ、もうほとんど新婚さんになるでしょ?」
「え? 新婚さんなの? ぼくたち?」
「ん、もちろんでしょ」
 翌日、咲子は炊飯器と弁当箱をふたつ買ってきた。
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