咲子?/たま
のどこに口があるのだろうか……咲子はそれを問うているのだった。
国語辞典や広辞苑とかは、新版が出るたびに新語を補充するが、漢和辞典にはまずそれがない。かといって、だれも知らないような故事や、使われなくなった熟語がその使命を終えて、削除されるかというとそれも聴かない。
中国に漢字が生まれたのは四千年余り前のことだという。そうなると、咲子の問いかけは、有に四千年の時をへだてた古代の森からやってくる雨音みたいなもので、その雨音の正体が、故事や熟語だとすると、現代人のわたしにはとらえようのないものでしかない。
しかし、咲子の求める答えが、漢和辞典のなかにあったとしても、発声や、ことばには、咲子の
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