すすき野原の物語(はかりしれない郷愁)/板谷みきょう
 
村が「清潔な沈黙」に包まれてから、長い年月が流れました。

かつて野原で叫んでいた少女も、
冷酷な釘を打った大工も、
皆この世を去りました。

残されたのは、すすきに埋もれ、
誰からも忘れられた役目を失った「祠」と、
それを迷信だと笑う新しい時代の空気だけでした。

そこへ一人の男がやってきます。

近代という名の光を背負った、民俗学者です。

彼は、最新の機材を抱え、野原を数字に変換しようとしました。

[鬼とは、共同体が抱えきれなくなった罪悪感の投影である。]

[祠とは、不安を管理するための心理的装置である。]

民俗学者の書く論文は、かつて大人たちが
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