河童伝・第五話「子供と河童」/板谷みきょう
 
三郎沼が干上がってから、村は何も変わらぬふりを続けておりました。

水の無い沼は、ただの窪地となり、子どもらは近づくなと強く言いつけられた。大人たちは、あの夜の話を口にせず、まるで最初から沼など無かったかのように振る舞ったのでございます。

けれど、あの子だけは違いました。

川から戻らなかった夜を境に、
あの子は、干上がった沼を、毎日見つめていたのです。

水はない。
映るものもない。
それでも、あの子は、そこに誰かが居るように、じっと目を凝らしておりました。

ある日、婆さまが声をかけました。

「何を見てる。」

子どもは、しばらく黙ってから答えました。

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