河童伝・第四話「河童を殺した村」/板谷みきょう
は、縛られぬ。
だからこそ、三郎のように“使われる”こともなかった。
……羨ましかったのだと、後になって分かります。
その頃、川から戻らなかったあの子どもが、少しずつ変わり始めました。
水を怖がらない。
眠るとき、必ず窓を少し開ける。
夜中、誰も教えていない古い言葉で、水に話しかける。
「お前、誰と話してる。」
そう問うと、子どもは首を振りました。
「名前がないから、言えない。」
その声は、三郎のように優しくはなかった。
村は、初めてはっきりと恐れました。
これは守り神ではない。
犠牲にもならない。
ただ、“奪うために見ていた
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