河童伝・第四話「河童を殺した村」/板谷みきょう
それが“誰だったのか”を、村が知るまで、そう長くはかかりませんでした。
川辺に残った、三郎のものではない足跡。
それは日ごとに増え、やがて消え、また別の場所に現れました。形は人に近く、けれど踵がなく、つま先だけで立ったような跡。水の上で向きを変え、土の上では迷い、必ず最後は……三郎沼の方角で、ふっと途切れていたのでございます。
「……見ていた側だ。」
誰かがそう呟き、皆が黙り込んだ。
三郎を見ていた者。
人と河童のやり取りを、水底から、岸から、ただ見ていた存在。
それは、“名を持たぬ水のもの”でした。
名を持たぬものは、呼ばれぬ。
呼ばれぬものは、
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