回顧録/這 いずる
 
夢に夢だ
後ろ姿を掴めない
私の詞の一巡が過ぎ
頭に追いつかない手の
戦慄きを
指摘され
そう
戦慄いている

自覚する
私は恐れている
深淵の縁に立っている
という振りをして
本当はフェンス越しであるということ
安全地帯から振りをしているということ
誰も指摘しない事を
壁打ちが
壁打ちしか言ってくれない

どこまでも臆病で
踏み出せない
君への想いが
君たちへの想いが
純粋な悲嘆ですらなくなって

君のフェンスを越える姿が
髪が一筋風になびいて
そう落ちていった

東京を案内してくれた
一緒に浅草を観光した
花やしきで絶叫に乗った
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