mimicry/ホロウ・シカエルボク
して拗れるだろう、そこに閉じ込められた過去たちは二度ともとの景色に戻ることは出来ないだろう、食事と同じだ、必要なものだけが吸収されてあとはどこかで排出される、あるいはそのまま留まって災いを起こす、食事と違うことがあるとすればそれは薬なんかじゃどうにもならないってことくらいだ、現実と幻覚はどうしてこんなに寄り添うのだろう、まるでどちらがリアルな存在なのかわからなくさせようと目論んでいるみたいだ、俺は唇を噛む、薄い唇から滲む血など味わうほどの量でもない、吸血鬼が美女の首筋に噛みつくモノクロの映画を見て興奮を覚えたことはあるか?それはいったいどんな種類の興奮なのだろうか、ただ美しい女を見て心が騒いだだけ
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