「キツネ」という絵本を読んで/あさみ
 
とがどんなことか覚えているかい?
本当に飛ぶってことがさ。

犬さんが走れば風になれるわ。
私はその風に乗って空を飛ぶの。

風をきるってことがどういうことか覚えているかい?
おれは風よりはやく走れるぜ。
ほんの少し走ってみりゃ、きっとお前も思い出すだろう。
風の感触を。


 その言葉は私にとってあまりにも甘美だった。


わかった。
でも、少しだけ。



ぴゅうん、ぴゅうん、
風が、羽を撫でて通りすぎる。

ぴゅうん、ぴゅうん、
ああ!なんて気持ちがいいんだろう。
 これが飛ぶってことだ。
 これが飛ぶってことだ。



振り落とさ
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