「キツネ」という絵本を読んで/あさみ
とされた熱い砂漠は、
火傷の痕が残る翼をじりじりと焦がした。
私は翼を失った。
私は大切な翼を2度も失ったのね。
鳥は、去っていくきつねの背をぼんやりと見つめながら、
ぴゅうん、ぴゅうん、
という、虚しい風の音を聞いた。
帰らなくては。
大切な人が、待っているだろう。
目を失い、不安な気持ちで
待っていてくれているだろうか?
犬さんの焼けた目に、こんな私はどううつるだろう。
嗚呼
それでも 再びあなたの目になりたいから
鳥は、暑い砂漠を、ひょこひょこと歩き出した。
嗚呼
いまさら本当に大切なものに気づくなんて
……
やっぱり 一番惨めなのは私なの。
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