「キツネ」という絵本を読んで/あさみ
風が翼を通り抜け
懐かしいこの感触
すごい!
私空を飛んでいるみたい。
飛んで!もっと飛んで!私はあなたの目になるわ。あなたは私の羽になって!
私たちは毎日のように走りまわった。
秋を走り、
冬を走り、
春を走り、
夏を走っているときに、私たちは一匹の狐と出会った。
一緒においで。
きつねは言う。
ちらちら、ゆらゆら、
燃えるように冷め切った瞳の中で、炎がゆれる。
蔑みと、妬みと、孤独と、
寒くて熱いものが全部混ざったような炎。
犬さんを置いてはいけないよ。
私は彼の目なんだし、彼は私の羽なんだから。
飛ぶってことが
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