怒りと愛/杉原詠二(黒髪)
愛には対象が必要だ
自己愛でさえ他者がいて成り立つ
ひとりぼっちでは自己を愛せない
自己愛は他者の視線の中にいなければ
成立しないのだ
自己の愛情に他者が愛を返さない場合に
怒りが生じ自己中心へと移る
愛が消えた瞬間である
つまり愛は尊重されなければならない
無私なる愛を向けたとしても
愛自体に尊厳を向けなければならない
それはつまり
無私の愛であるとしても
その対象が存在しているということだ
それはつまり無我ということだ
自性を持った自己が存在しないので
愛が対象に依存しているという構造を
乗り越えることは出来ないのだ
縁を切った場合
愛は届かなくな
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