怒りと愛/杉原詠二(黒髪)
 
くなる

つまり
怒りのすべては
縁を切ることに対して生じるのだ

しかし怒りは形を変え得る
悲しみになるのだ
怒りと悲しみは双子である
残念であるという思いが
それらを呼び覚ます
相手を変えたい場合は怒り
変えられない場合は悲しむ

破壊より涙を
怒りより悲しみを
わたしはかつて他者の自死に対して怒った
しかし本当は悲しまねばならなかった
死は変えられないということに
理解が足りなかった子供の頃のこと
わたしはそのとき
自分の異質性に気づいていた
残されたものの気持ちを考えない
自殺者の勝手さに怒りを覚えた
しかし自殺者も好きで死んだわけではない
責任はどこにもなかったのである
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