ももくりさんねんかきはちねん/百(ももと読みます)
いつものように入浴中にからだのあちこち揉んでいた。リンパ腺を刺激することで、ほとんどあせをかけない体質のぼくでも額からなにかが溢れてくるんだ。背中側のわきのしたを念いりに揉むとてきめんだよ。
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いつものことして浴槽から立ちあがって、髪のけをアレッポのせっけんであわあわにしていた。ぁ、っていう瞬間から鈍い吐き気を覚えた。それから、耳鳴りが左耳からやってきて、身体をつきぬけるかのように、その音が右耳へと移動した。そしてまた、ぁ、ってなって、目の前からいろが失せたんだ。
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猛烈な目眩だった。おずおずとしゃがみこむ。それでも惰性で髪を洗おうとして、すぐにそれが無謀だと
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