ももくりさんねんかきはちねん/百(ももと読みます)
 
だとわかった。シャワーをもとの場所に戻して蛇口をひねって、そのままの姿勢でぬるめのお湯をあたまに当てていた。



 思わず息がくるしくて、はやくお風呂場からでたくなった。ぼくはお風呂がすきで、からだも奇麗にあらうほうだ。きょうはそれができない。



 色彩を感じないセカイで、いままでぼくに優しくしてくれたひとの面影が浮かんでいた。遠い詩友のこと、恋人でいてくれた優しいあの子、そして、家族のこと。



 お風呂場からでられたらお電話できればいいと家族について考えて。ちょうど風邪をひいているときとおなじように命に関わることとも錯覚してしまって、すこし弱気にほほ笑んだ
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