クリスマスプレゼント(修正版)/板谷みきょう
 
ビルの立ち並ぶ、鉛色の大きな町の、底冷えする裏通り。
そこに、子どもたちが大好きで、彼らの前では、銀河の彼方のほんとうの幸せを、細い目をして語るおじいさんが住んでいました。おじいさんは町に一軒の時計屋の時計師でした。一日の仕事で暮らしが左右される、厳しい生活でしたが、凍てつく朝の光が地平から昇ると同時に起き、時計の針と歯車の間に手を入れ、静かに日々を送っていました。

町の子どもが店先に来ると、おじいさんは少し長く時計を直しました。
「こうしておくとね、明日が少しだけやさしくなるんだよ。」
その言葉は、子どもたちの胸に、小さな灯のようにしみ込みました。
その灯は町の秘密のお話のように、
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