大切なものたち/水宮うみ
大切なものたちを道で見つけては拾っている。みんなその大切なものを、なぜか捨てていってしまうんだ。だから僕が拾っていく。拾った大切なものたちは、部屋で大切に飼っている。ときどき外で自由に遊ばせてやったりもする。
「ゴガガガガ」とか「キヒヒヒヒヒ」とか言って庭で楽しそうに木を破壊したりして遊んでいるのを見ていると、僕も楽しくなる。たまに喉元に噛みついて来たり眼球を引っ掻いてきたりするやつもするけれど、大切なものたちが大切であることに変わりはない。大切なものたちは、見た目は小さくとも、本当は大きいんだ。地球を丸ごと飲み込めるくらい。僕は毎日何かしらをうちに持って帰ってきて食べさせる。大切なものたち
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