水晶の無垢/秋葉竹
 


幸せは
希んだから手に入るものではなく
悲しみは
嫌がったってやって来ない訳じゃない

ただ背中に背負い
その重さにみあった水晶の無垢を
心の闇につみかさねてゆく

それが嬉びだろうが
切なさだろうが
日々を生きる歩みの中で
心の通じあわない
異国を生きる辛さを苦しいと想ったとして

まっすぐに遠くだけをみつめて
明けない夜が無いように
目覚めない夜が無いように
なんておさない夢だけ夢と知ったうえで
けして曖昧にはしない覚悟で
無垢を知ることを祈ろうと想う

いつだって北風は
刺すように瞳に吹きつけたし
みあげれば雁の群れたちが
矢印みたい
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