全行引用による自伝詩。 07/田中宏輔2
ジに向かって、話をしているものだ。
(ジーン・ウルフ『警士の剣』10、岡部宏之訳)
水が笑い声を立てている川のほとりで、われわれがいかに真剣だったか、少年の濡れた顔がどれほど真剣で清潔だったか、その大きな目の睫にたまった水の雫がいかに輝いたか、それを描写できればよいのだが。
(ジーン・ウルフ『警士の剣』17、岡部宏之訳)
死の十年前、フロイトが人間を総括して何と言っているか、御存じになりたくありませんか? 「心の奥深くでこれだけは確かだと思わざるを得ないのだが、わが愛すべき同胞たる人間たちは、僅かな例外の人物を除いて、大多数がまず何の価値も持たない存在である。」今世紀の大半にわ
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