首都高/guest
その夜
母が自殺したという報せを聞いて
私は高速を飛ばしていた
なんとなくいつか死ぬだろうとは思っていた
包丁を手に「(死んで)」と言う母
誰よりも優しい声で
もうあの家に帰りたくないと話す
なんとなくいつか死ぬだろうとは思っていた
母の中で
父とは一体なんだったのだろうと
首をかしげる日しか無かった
だからいつ死んでもいいように沢山約束をした
明日は刺身を食べたい
テストで百点を取ってくる
友達を連れて帰ってくる
どうして父のネクタイを選ぶと解ったのだろう
私を産みたくなかったのなら
父なんて
うまいこと殺してやったのに
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