首都高/guest
 
その夜
母が自殺したという報せを聞いて
私は高速を飛ばしていた

なんとなくいつか死ぬだろうとは思っていた

包丁を手に「(死んで)」と言う母
誰よりも優しい声で
もうあの家に帰りたくないと話す

なんとなくいつか死ぬだろうとは思っていた

母の中で
父とは一体なんだったのだろうと
首をかしげる日しか無かった

だからいつ死んでもいいように沢山約束をした

明日は刺身を食べたい
テストで百点を取ってくる
友達を連れて帰ってくる

どうして父のネクタイを選ぶと解ったのだろう

私を産みたくなかったのなら
父なんて
うまいこと殺してやったのに


[次のページ]
戻る   Point(2)