食べる、もぐもぐと、食べる/山人
 


もぐもぐ、もぐもぐ、はたして
そんな音が聞こえるのかどうかは
世間的に問題にならない
たぶん、ごはんを食べるとかそういったイメージ

さして食欲もない昼の食事は
きっともぐもぐという形容詞が似合うだろう
何らかの感慨を持ちながら
得てしてそこに厭でも思考が訪れてくる



私と妻によって殺された
名も無く、ただかかれてしまった
青白く佇む妻の顔を見ることもなく
私は爛れた空間に居続けるのみだった


もぐもぐとひたすら私は無言で咀嚼を続ける
舌は繰り返し唾液を分泌し
愛液のように促している
米粒はその形を維持しながら
次第に歯に踏みつぶれてい
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