食べる、もぐもぐと、食べる/山人
ていく
東京の郊外のとある街のアパートの
積み上げられたゴミの山の一角に
おまえは棲んでいた
病的な脂肪が体を覆い
パンク寸前のアニメの豚のようになって
思考回路がぶつ切りされた脳で
見えない糸を探っていた
私たちに希望はない
そう思いながらもひたすらに
もぐもぐと噛み続けた
政では、薬物の快楽のような世界が蠢き
かたや、頑なに真利だけを貫く党首がいる
たがいにそれらは混沌としているだけで
生まれるものは何もない
この先のことは分からない
わからないけれど、もぐもぐと
こうして食み続けるのだ
視線を移せば越冬害虫どもが
狂おしく淫らな羽音を打ち鳴らしている
最後の飯の塊がゲル状になり
喉を通って胃に落ちていった
戻る 編 削 Point(7)