全行引用による自伝詩。 05/田中宏輔2
 
ョゼフィーヌ・ボーアルネ宛、1796年3月30日付、平岡 敦訳)

また私です。
(クレマンティーヌ・キュリアルの書簡、スタンダール宛、1824年7月4日付、松本百合子訳)

 さあ、アンリ、ロジーヌのところへ行くといいわ。私の大嫌いなロジーヌの腕に飛びこむといいわ。そうすればどんなに私も嬉しいか。だって、あなたの愛は、女の人生に起こりうる、最悪の不幸だもの。もしその女が幸せなら、あなたはその幸せを取りあげる。もしその女が健康なら、その健康を損なわせる。その女があなたを愛せば愛すほど、あなたはつらくあたり、野蛮にふるまう。その女が「大好きよ」とあなたに言った瞬間から、もうお決まりのことが
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