全行引用による自伝詩。 05/田中宏輔2
 
 こうなるとフェルナンドの狂的な公理の一つを認めないといけなくなる、偶然などありはしない、あるのは宿命だという。人は探しているものだけを見出すのであり、心のもっとも深く暗いところ、そのどこかに隠れているものを探す。そうでなければ二人の人間が同一人物に会ったとき、どうして二人の心に必ずしも同一の影響を与えるわけではない、そんなことになるのか? どうして革命家に会ったとき一人は革命に参加し、一人は革命に無関心のままでいるというようなことになるのか? それはおそらく人は最後には出会うべき人間に出会うことになっているからに違いない、したがって偶然というものは極めて限られたものとなる。わたしたちの人生におい
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