秋、帰る 蒼風薫/梅昆布茶2
ないのかしら・・・。
つかみどころのない
『くすくす』
傍からすれば、少女は気が違っていて独り言を言うような何かの病なのでは、そんな連想につながるような様子が頻繁に見られた。
そう、その秋は男性であった。少女にいつ求婚してもおかしくない、それほどに
明けても暮れても少女、少女なのであった。
いっそこのまま自分の故郷まで少女を連れて駆け落ちエをしたい、秋の本心はそうであった。
彼は自分の領分と言える短い時間をわきまえて、ひっそりと涙ぐんだ。彼もまた、切なかったのである。
銀杏がほぼ黄金色に移ろい終わりそろそろ衣を電飾と取り替えたそうにモジモジしている。
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